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※これは「株式会社 物語ライティング」代表・大隈明子の、会社を開業するまで・してから・今後を描いた物語です。
「ホームページ制作をどこに発注しよう?」
ネット検索をしていた私の目に飛び込んできた、
「なんだ、インターネットなんて役に立たないじゃないか!」
という大胆なキャッチコピー。
思わず引き寄せられるように読み出すと、
それは、ホームページ制作会社のユニークな代表挨拶でした。
形だけのありきたりな挨拶文ではなく、
「なぜ自分が会社を設立したのか」を語った、短編小説のような物語。
金無し・コネ無し・顧客無しからのスタート、会社のミッション…。
読み進むうちに、私ははすっかり、その社長さんのファンになっていました。
ほんの30分前までは、見たことも聞いたこともなかった会社です。
それが、たった1ページの物語を読んだだけで、
「この人にホームページ制作を頼んでみたい!」
という気持ちになっていたんです。
…これは、物語ライティング設立のひとつのきっかけとなった出来事です。
こんな経験が、皆さんにもありませんか?
法外な料金、うわべの体裁ばかり、問い合わせの返答も嫌々…。
人と人のコミュニケーションを省略して仕事を進めているところも多い、
従来のホームページ制作会社。
私はそこに常々違和感を感じていました。
「インターネットのおかげで便利な世の中になったけれど、
直接会って話を聞き、想いを伝えることって大切なんじゃないのかな?」
「このままのやり方だと、世の中がおかしな方向にいっちゃうんじゃない?」
という、自分なりの危機感もあったのかもしれません。
だから先の代表挨拶を読んだとき、瞬時にひらめいたんです。
「これからのホームページでは“心”を伝えないと、見向きもされないだろう」
「その“心”の部分を文章で伝えることこそ、自分のライターとしての使命だ」
「これを新しいライティングの形として、世の中に広めていこう」と。
このとき「物語ライティング」という言葉も生まれました。
物も情報も、消費が追いつかないほどに、溢れきっている今この時代。
インターネットの発達で「より多くの物を売り、より多くの利益を稼ぐ」
という流れが加速化しました。
一方、欧米の高級ブランドの中には、
創業者一族やデザイナーが去り形骸化した所も、あちらこちらに。
それでも、ブランド名と広告宣伝、著名人を使ったPRにより、
いまだに多額の利益を上げているところもあります。
しかし、それらは真の意味でのブランドといえるのでしょうか。
「安く&早く」と「名前だけのブランド信仰」。
どちらにも、そろそろ消費者はお腹いっぱいなようです。
それでは、これからの時代には、何が求められているのでしょう?
…それはおそらく、
「独自の良いもの、良いサービスを作っていくこと」
「買う体験そのものを、売り手と買い手がともに楽しむ機会を提供すること」
の両輪だと思います。
先にあげた高級ブランドの中でも、
一歩先を見据えたデザイナーやオーナーは、
「顧客と直接対話し、満足いただけるものを提供する。
そんな商売の原点に立ち戻りたい」
「大量の広告には頼らない。
代わりにコンセプトを表現する場をしっかりと設けたい」
などと語って独立し、それなりの手ごたえを感じはじめているようです。
『もの』をどうせ買うのなら、
「はっと心に響くもの」「共感できるもの」を選びたいと思うこと。
それは、人としてごく自然なことではないでしょうか。
「そのものやサービスは、作り手のどんな想いから出来上がったのか」
「その裏の人間模様や試行錯誤のストーリーは、どんなものだったのか」
という、背景にある物語に共感をおぼえたとき、消費者は、
「この会社・この人に頼んでみたい」
「この商品を使ってみたい」
という気持ちになるのではないでしょうか。
それでは、その物語はどのようにしてつくられるのでしょう?
私はこれまでに1000名以上の方を取材してきました。
そしてその経験を通し、文章には、
「書き手と読み手、双方が幸せな気持ちになる」ものと、
「書き手と読み手、双方が盛り上がらない」ものの、
2種類があることに気がつきました。
その2つの違いを分析すると、
幸せな気持ちになる文章は、
「人物取材をし、その人の想いが伝わる体験談形式で書かれている」
ということが。
他方、盛り上がらない文章は、
「主に手元にある情報だけでまとめられており、心に響かない」
ということが、見えてきたんです。
書き手の想いが、いやおうなしに文章に表れてしまうんですね。
取材される側のエネルギー、情熱といったものに書き手が触発されてはじめて、
盛り上がる、想いが伝わる文章が書けるんです。
そこを物語という形にまで昇華させるのが、
私たちライターの腕の見せどころでもあります。
物語ライティングの登録ライターは、
「相手ときちんと向き合い、話を引き出せる人物か」
「心を動かす物語を作り出せるか」
「ライター自身が夢を持っているか」
の3点を重視して選考。
初めてのメール/初めての電話/初めての出会いと、
第一印象を徹底的に重視しています。
だって、社長さんから「この人に書いてもらいたい!」
と思われる人でなければ、きっといい取材はできないでしょうから。
また、都道府県ごとに、担当を置いているのが特色です。
食の世界には、その土地の旬のものを食すのを善しとする「身土不二(しんどふじ)」
という言葉がありますが、言葉の世界にも、その土地土地の方言が。
当然、言葉だけではなく「県民性」も、それぞれ大きく異なっているはず。
だからこそ、地域のライターが取材およびライティングをすることで、
地域性を反映し、かつ深みある文章が生み出せるのです。
そして、ライターたちは競合する相手ではなく、仲間として交流しています。
これは、長年の経験を通し、ライター同士の横のつながりの希薄さや、
顔の見えない従来の登録ライター制度に対する違和感から生まれたもの。
私が一番力を入れたいコミュニケーションの場です。
そのほか、会社にライティングの依頼があると、
はじめにライターたちが、皆でお客様のホームページを見て、
客観的な意見をフィードバックする、というサービスも行っています。
率直な意見の中には「耳が痛い」といわれることもありますが、
それ以上に喜んでいただけることも。
「ホームページを改善した次の日から問い合わせが倍増したよ!」
といった、嬉しい報告をいただくこともあります。
買い物をインターネットだけで済ませる人も珍しくはない今、
逆説的ですが、ネットの向こうの人となりが垣間見えたときに、
ふとあたたかい気持ちになるのでは?
私たちはそういった観点からアドバイスをしています。
この現象は、CG技術が発展し過ぎてストーリー重視に回帰していった、
映画業界の流れにも似ていますね。
長い間、謙遜が美徳とされてきたわが国。
自分で自分をPRすることは、ことのほかハードルが高いようです。
「想いはあっても、なかなか自社や、自分のことは伝えづらい」
という社長さんは、実にたくさん存在します。
独自のもの・サービスづくりを頑張る、全国各地の社長と、
そこから先の「伝える」部分をプロとして担う私たち。
双方がリレーのように良いコンビネーションを築き、
社会に仕事の意義を取り戻すことができたなら。
やがては日本全体が、活力を取り戻すのではないでしょうか。
デザインや紙といったビジュアルも重要ですが、
「伝える」部分で最も大切な要素は「言葉」です。
「言霊」という言葉があるくらい、言葉には力が備わっているのです。
「本当によいもの・よいサービスを、言葉の力で世の中に伝えていきたい」
今日もそう思いながら、物語ライターたちは元気に取材に向かっています。
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