年末の挨拶文に「小さな失敗」を入れると好感度が上がる理由
株式会社物語ライティング 代表・ライティングコンサルタント 大隈明子
年末が近づき、取引先やお客様への挨拶文を準備する時期になりました。毎年送るものだからこそ、「きちんと書かなければ」「失礼があってはいけない」と、無難で形式的な文章になっていませんか?
実は、丁寧なだけの挨拶文は相手の印象に残りにくいものです。
今回は、読み手の心に届く年末の挨拶文の書き方として、「小さな失敗」を取り入れる方法をご紹介します。
なぜ「小さな失敗」が効果的なのか

完璧な相手より、少し人間味のある相手のほうが安心できる——これは人間の自然な心理です。
無機質な総括や堅苦しい定型文より、「この人らしいな」と感じる一文のほうが、読み手の記憶に残ります。
この「失敗が好感につながる」現象には、心理学的な裏付けがあります。
アメリカの心理学者アロンソンが提唱した「プラットフォール効果」によれば、人は弱みを見せたほうが信頼を得やすくなるのです。実験では、もともと有能だと評価されている人がちょっとしたミスをした場合、その人の好感度が上がることが確認されています。
実績アピールの落とし穴
通常、信頼を得るには実績をアピールするのが王道です。
しかし、そのさじ加減は難しく、アピールしすぎると自慢話に聞こえ、かえって好感度が下がることもあります。
それならいっそ、「ダメな自分」を少しだけ見せてしまうのも効果的な戦略です。完璧さを装うより、親しみやすさを感じてもらえる可能性が高まります。
ただし、むやみに失敗談を書けばいいわけではありません。以下の点に注意が必要です。
1:前提となる信頼関係があること
アロンソンの実験でも明らかなように、もともと一定の評価や信頼があって初めて、小さな失敗が好感を呼びます。信頼関係が築けていない相手に失敗エピソードを書くと、単なる「ダメな人」アピールになってしまうため、相手は慎重に選びましょう。
2:「笑って流せるレベル」の失敗のみ
書くのは、ごく軽い失敗だけにすることが重要です。以下のような内容は避けてください。
・取引先への誤送付
・トラブルやクレームの話
・経営判断のミス
・商品の不良や欠陥
これらは人間味より心配が勝ってしまい、読み手に不安を与えてしまいます。
どんな失敗エピソードが適切か
適しているのは、誰も傷つかず、実害ゼロの、自分のちょっとした勘違いや抜け感といったできごとです。
適切な例:
・早く出社しすぎて誰もいなかった
・自動販売機でお釣りを取り忘れた
・ジョギングを始めたが、途中で疲れ果ててタクシーで帰った
これらは「あるある」「微笑ましい」「人間らしい」と感じられる失敗であり、直接的に仕事上の信頼感に関わるものではないため、読み手も安心して読めます。
年末のメッセージは形式として毎年送るものですが、だからこそ小さな個性が強い印象を生みます。
毎年、さまざまな人から似たような挨拶文を受け取るなかで、「この会社らしさ」「この人らしさ」が感じられる一文があると、それだけで記憶に残るのです。
完璧さを追求するより、「今年の自分らしい一場面」を小さく添えることが、実は最も相手の心に届く方法です。
まとめ:今年の挨拶文に個性を添えよう
今年の年末挨拶文には、ぜひ「一つだけの、微笑ましい小さな失敗」を添えてみてください。それが読む人の心をふっと緩め、あなたや会社との距離を少しだけ近づけてくれるはずです。
形式的で無難な文章より、人間味のある一文が、相手の印象に残ります。心理学的にも裏付けられたこの手法を、ぜひ今年の挨拶文に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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